妻が上場株式の配当を確定申告した場合の夫の配偶者控除

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専業主婦です。亡くなった父から相続した上場株式の配当が毎年30万円ほどあります。20%強の税金が差引かれて入金しますが、確定申告をすれば戻って来ると聞きました。一方で、妻が確定申告をすると夫の配偶者控除が受けられなくなるとか、サラリーマンであれば健康保険の被扶養者から外れると言った不都合な話も聞きます。アドバイスをお願いします。
以外に見落としがちなのが、この方の様なケースです。上場株式等の配当を申告分離課税で確定申告をすると、妻は税金の還付がうけられますが、夫の扶養者控除や健康保険の被保険者要件に関して不都合を生じることが有ります。一方夫がサラリーマンではなく自営業者であれば、国民健康保険の保険料が増えることが想定されます。貴方の場合ですが、配偶者控除・社会保険の何れに就いても確定申告による不利益が生じることはありません。

ご存知の様に上場株式の配当には、20.315%の所得税・住民税が源泉徴収されます。原則的に課税関係はこれで終了し、確定申告の必要はありません。
ところで、全ての納税者には38万円の基礎控除が適用されます。総合課税の給与収入であろうが、分離課税の配当収入であろうが、所得金額の合計が38万円以下であれば税金を払う必要はありません。
ご相談者の場合、所得金額は分離課税の配当所得30万円だけで税金を払う必要がないにも拘らず、配当金受領時に20.315%の税金が源泉徴収されています。従って申告分離課税を選択して確定申告すれば、6万円強の源泉徴収税額が全額還付されます。

ところでご懸念の配偶者控除との兼ね合いですが、この要件は妻の合計所得金額(注1)が38万円以下であることです。38万円を超えると夫は配偶者控除が受けられなくなります(注2)。上場株式の配当については、金額の大小に拘らず確定申告不要制度を選択することが可能ですが、この場合は妻の合計所得金額に配当所得を含めません。一方、確定申告をすると合計所得金額に含まれます。妻の合計所得金額を38万円以下に抑える、これがポイントになります。
(注1)合計所得金額とは、給与所得や不動産所得など総合課税される所得金額と、土地や上場株式の譲渡所得その他分離課税される所得金額の合計を言います。銀行利子や申告不要とした配当所得は合計所得金額には含まれません。
(注2)妻の合計所得金額が38万円超76万円未満であれば、配偶者特別控除が適用されますが控除金額は逓減します。

次に健康保険の被扶養者に付いてです。
協会ケンポでは、次に該当する者が被扶養者になります。
ⅰ)被保険者の直系尊属や配偶者、子や孫など、主として被保険者の収入で生計を維持されている人
ⅱ)被保険者と同一世帯で、主として被保険者の収入で生計を維持されている一定の親族(ⅰに該当する者を除く)

被扶養者認定では収入基準が定められています。同一世帯に属している場合、被扶養者の年間収入が130万円未満且つ被保険者の年間収入の2分の1未満であることが必要です。これを充たさなければ被扶養者にはなれません。
ご相談者のケースですが、年間収入は配当の30万円だけなので問題なく認定基準をクリアしています。
ところで、そもそも配当を年間収入に含める必要があるかどうかの議論があります。認定基準となる収入には、給与や年金・不動産収入など継続性を有するものが該当します。配当については、直近の実績から毎年一定額の上場株式配当が有る場合は収入に含める必要が有りますが、不規則な非上場株式配当であれば除外するのが一般的です。この辺りの判断は社会保険事務所に任されていますが微妙です。

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