上場株式配当を確定申告した場合の後期高齢者医療制度や介護保険制度の保険料への影響は?

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82才の母の確定申告でご相談します。主な収入は、遺族共済年金220万円(非課税)と老齢基礎年金60万円で、その他に父から相続により取得した上場株式の配当収入が年80万円ほど有ります。年金の雑所得金額はゼロで、配当も源泉徴収あり特定口座で受入れているため、確定申告はして居りません。上場株式配当に付いては申告不要ではなく総合課税による確定申告を選択すれば、源泉徴収された所得税や住民税が還付されると思いますが如何でしょうか?

 

おっしゃる通り、源泉徴収された所得税と復興特別所得税は全額還付されます。一方、住民税も源泉徴収された配当割が一部還付されますので、トータルの還付額は14.8万円になります。一方、株式売却益や配当等を確定申告すると、国民健康保険や後期高齢者医療制度の加入者については保険料負担が増えます。給与所得者とその被扶養者であれば保険料負担の影響はありません。お母様のケースですと後期高齢者医療保険料等が年額2.1万円増加しますが、差引きでは12.7万円の負担減になります。上場株式配当に係る軽減税率10%が廃止される平成26年から、総合課税による確定申告を検討されては如何でしょうか。

1.制度の概要
上場株式配当については3つの課税方式の中から選択ができます。申告不要(源泉分離課税)か確定申告(総合課税または申告分離課税)のうち何れかの選択です。総合課税による確定申告は、配当控除を受けたい場合に適用します。総合課税の配当所得は、給与所得や年金の雑所得等と合算され累進税率が適用されますが、一方で配当控除(所得税10%又は5%、住民税2.8%又は1.4%)が受けられます。もし限界税率(適用される累進税率で最も高いもの)が10%以下であれば、配当控除により所得税負担はありませんので、源泉徴収された所得税及び復興特別所得税が全額戻ってきます。
住民税ですが税率は一律10%、配当控除は2.8%ですので、所得割税額は1.4万円になります。配当割が4万円源泉徴収されていますので、差引き2.6万円が還付されます。

2.後期高齢者医療制度や介護保険制度の保険料負担増
75才以上の方は、それまで加入していた健康保険や国民健康保険から脱退して、後期高齢者医療制度に加入します。。
保険料は、均等割額(1人当りの定額部分)と所得割額(総所得金額等にスライド部分)で構成されています。総所得金額等は総所得金額に分離課税の退職所得・山林所得・株や不動産の譲渡所得などを加算した金額で、これに7~9%程度の料率を乗じたものが所得割額になります。所得割額には所得金額に応じた軽減措置があり、設例では50%の軽減割合が適用されますので保険料負担増は2.1万円です。
一方株式の譲渡所得や上場株式の配当所得であっても、確定申告をせずに源泉徴収で課税関係を終了させている場合は、保険料算定に影響しません。
(注)後期高齢者医療制度加入の前日まで、健康保険(国保・国保組合は除く)の被扶養者だった方は、被扶養者軽減措置により均等割額が9割軽減され、さらに所得割額が掛りません。

同様に介護保険料の負担も増加します。65才以上の第1号被保険者については、各市区町村が制度の運営に必要な費用を賄うための保険料を独自に設定します。年金収入や所得金額に応じて、当該市区町村の基準額の45%~300%の保険料が適用されます。このため確定申告により介護保険料負担が増えますが、影響は軽微です。

3.後期高齢者医療制度における医療費自己負担増
後期高齢者医療制度の場合、一般の自己負担割合は1割ですが現役並み所得者については3割負担になります。
市町村民税の課税所得が145万円以上の被保険者及びその被保険者と同一世帯の他の被保険者に付いては、現役並み所得者として自己負担割合が3割になりますのでご注意下さい。設例では、課税所得が47万円の単身世帯なので自己負担割合は変わらずに1割です。

(お断り)
平成29年度の税制改正大綱で、「個人住民税の上場株式等に係る配当所得等の課税方式の明確化」が行われました。これに関しては幣別稿記事「上場株式配当の総合課税による確定申告のご相談」をご参照下さい。

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