非上場株式配当を確定申告した場合の健康保険の被扶養者要件への影響

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10月期決算の同族会社です。非常勤役員である妻が全株式を保有しています。貴HP記事の「中小法人の税負担を軽くする株主構成と配当方針」を参考にして、初の配当実施(169万円)を検討しています。ただ、非上場株式配当に係る確定申告のやり方が良く分かりません。また妻は現在被扶養者として健康保険料の負担をして居りませんが、配当収入が増えるため被扶養者から外れないか心配です。因みに妻は58才で、役員給与は年額128万円です。

 

非上場株式の配当の課税方式は総合課税です。ご相談者の奥様の給与収入は128万円ですので、給与所得控除後で63万円の給与所得になります。これに配当所得169万円を加え、基礎控除38万円を差引いた課税所得金額は194万円になります。適用税率5%を乗じた税額は9.7万円です。一方総合課税の配当所得には配当控除(このケースでは10%)が適用されます。この金額は16.9万円ですから、9.7万円を上回るため納付すべき所得税は有りません。配当支払い時に源泉徴収された、所得税・復興特別税34.5万円も全額が還付されます。
次に健康保険の被扶養者要件ですが、奥様の役員給与は明らかに認定基準額(年間130万円未満)を意識して決められています。配当収入ですが、向う1年間の受取りが確実に見込まれる場合は収入に含めて被扶養者要件を判定します。その蓋然性が低い場合は含めずに判定します。要は事実関係次第ですが、非上場株式の場合、景気や企業業績に左右されることが多いため、確実に配当収入が見込めるとは言い切れないのが実情でしょう。直近の実績から毎年継続的に配当が実施されていなければ、被扶養者になることが可能です。

1.確定申告
非上場株式の配当と上場株式の配当とでは、税務上の取扱いが異なりますので留意する必要があります。
先ず非上場株式配当の源泉徴収ですが、所得税・復興特別所得税の20.42%のみで住民税の特別徴収が有りません
次に確定申告は総合課税のみです。上場株式配当の様に申告分離課税との選択がありません。少額配当(1銘柄につき1回当り10万円以下)に係る申告不要制度も両者で異なります。上場株式配当は、所得税・住民税ともに確定申告不要制度が有りますが、非上場株式配当は所得税だけで住民税には有りません。因みに確定申告書第二表の下欄に、「配当に関する住民税の特例」の欄があります。分かり難い表記ですが、所得税の確定申告で申告不要を選択した非上場株式の配当金額を併せてここに記入する必要があります。
課税所得金額に対する税額が配当控除額以下になる様に調整すれば、非上場株式の配当のみならず給与についても所得税負担をゼロにすることが可能です。
住民税ですが、適用される税率は所得金額に拘らず10%の定率です。配当控除率は2.8%です。従って所得税の様に節税対策を講じることが出来ません。シンプルに差額7.2%の課税が行われます。

2.健康保険の被扶養者要件への影響
役員は代表者を含め、法人に使用される人として扱われ、健康保険の被保険者となります。但し、適用事業所に常用的に使用される者が被保険者になりますので、非常勤役員については対象から除外されます。この場合、収入金額についての制限はありません。
そうすると非常勤役員は、国民健康保険に加入するか或いは被保険者の被扶養者になるかの選択になりますが、言うまでもなく後者が有利です。
被扶養者になるには、一定の世帯関係と収入基準に該当することが必要です。収入基準は、給与その他継続的に生じる収入の合計が130万円未満(60才以上又は一定の障害者は180万円未満)ですので、非継続的な配当収入はこれに含まれません。従って被扶養者要件への影響は考慮しなくて良いことになります。

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